2014/10/26 - 10/27
即興小説トレーニングで途中しか書けなかったので仕上げました!


色望さんに描いていただきました!ありがとうございます!
欠席しすぎて留年が確定したイヤホン少女!とりあえず制服を来てみたものの、やることもないので町を歩いていた!
「大学進学を目標に頑張ってる弟は授業中だし、なにか面白いことないかなー」
と、ひどい棒読みで独り言を呟いた!すると、それに反応したかのように、道路を走っていた車を何かが吹き飛ばした!車はイヤホン少女が歩いていた道の近くの建物にぶつかった!窓ガラスが割れ、屋根の瓦が散らばる!
イヤホン少女は青ざめる!
「な、なにこれ」
詳しいことは割愛するが、ここ最近イヤホン少女は色々な面倒事によく巻き込まれていた!だがそれは休日に多かったので、別にそのせいで留年したわけではない!
「誰がやったの…?」あっけに取られていたイヤホン少女!しかしすぐ何かに思い当たった!
イヤホン少女には心当たりがあった!彼女を助けてくれた命の恩人にして面倒事の元凶!このような芸当ができる怪力の持ち主を1人知っている!
すぐさま携帯を取り出すイヤホン少女!ちなみにiPhone4Sだ!心当たりの人物に連絡を取ろうとするイヤホン少女!
「そこの制服姿の女!イヤホンを装着しているが実は音楽を聞いているわけでもないアンニュイツンデレ少女」ピンポイントで当てられたイヤホン少女は驚いて動きを止める!
「今のはお前が考えている奴ではない、私がやったのだ」
あの車がいたあたりから男の声が聞こえてきた!
黒いフード、マントを身につけており、フードで顔は見えず、わずかに銀髪がはみ出ている!
「ちょ…あんた、一体何者なのよ。もうこういうの飽き飽きしてるんだけど」
若干苛立った声でイヤホン少女は尋ねる!
「時間はないのだが…答えよう。私は漆黒の翼という者だ」
「………」
「は?」
イヤホン少女はドン引きした!
男はイヤホン少女の元へ歩み寄る!
「早速だがお前は、貯金をしているか?」
困惑を隠せないイヤホン少女!
「…まあ、してるけど?」
「何故だ?」
「……」
質問の意味が汲み取れず混乱しつつあるイヤホン少女!
「その貯金の理由だ。早く答えろ」
尊大な物言いでイラッとするイヤホン少女!この問答を終わらせたい一心で理由を話した!
「別に、ただ将来の為に思って。諸事情あって親の仕送りがなくなったし。文句ある?」
イヤホン少女は男を睨みつける!
「そうだろうな、大半の人間は将来の為と言うだろう」
「だから、貯金が何なのよ」
フッ、と漆黒の翼は笑い、語りだした!
「私は漆黒の翼…天界から舞い降りた堕天使。私が仕えていたある神の暴挙からお前たちを救うために」
「奴を崇めるものは、奴のために金を貯めようとする。それも莫大な大金を」
「……貯金ぐらいいいんじゃないの」
投げやりに言い、バッグから音楽プレーヤーを取り出すイヤホン少女!
「己の生活費より貯金を優先するのだ」
イヤホン少女は音楽プレーヤーを持つ手を止める!
「…え?要するにそれって」
「いずれ大金を残して餓死してしまうのだ。これで私の目的が分かったろう」
突然漆黒の翼はマントを後ろに回し、黒い羽を広げた!その翼は大きく、まさに漆黒と言える黒々とした色だ!
「漆黒の翼ねえ」
「少女、この近くに餓死が多く起こっている場所は知らないか?」
イヤホン少女は考え込んだ!
「んー、えっとどこだっけ。テレビでよく聞いた気がしたけど」
「覚えていない、か。それではお前の記憶を探ってみよう」
「え?」
漆黒の翼はイヤホン少女の頭に手をかざした!その瞬間、白い光があたりを照らす!
「愛媛県宇和島市、か…」
「西の方ね」
適当に言うイヤホン少女!
「ニシ?」
「そう、西」
「具体的に、何処にあるか分からないのか?ここから愛媛県宇和島市とやらには何ヤードある?」
「そういうの天使の力でわからないの?」
そんな都合の良い能力を天使は持っていない!ちなみに漆黒の翼はいくつかの言語だけのみ下調べして即堕天してきた、かなりの世間知らずだ!
「今使ったのは人間の記憶をスキャンして情報を手に入れるものだが、知識がなければ情報を活用できないだろう。痛恨のミスだな」
「…」
こいつただのバカだな、と思ったイヤホン少女!しかし声に出すのは流石にやめておいた!
ずっと手に持っていたスマートフォンを操作し、方位磁石アプリを起動する!セールで無料だったのでインストールしたけど結局使わないままだったものが、今ここで日の目を見る!
「あっちが西だってさ」
イヤホン少女、車の方を向いて指差す!車の中で死にかけている運転手が目に入った!
「あ…救急車呼ばないと」
慌てて119をダイヤルするイヤホン少女!
「あの方角へ歩いて行けばいいのか、噂には聞いていたが便利なものだなそれは」
翼をしまい漆黒の翼は歩き始める!
「いや、その羽で飛ばないと……あっもしもし」
再び羽を広げ、空へ舞い上がる漆黒の翼!その姿は天使というより悪魔だ!
「少女!今回は助かったぞ!今度会ったら礼を…」
「うるさい!早くいけ!あっすいません、えっと車が建物に突っ込んで運転手の人が……はい、すぐ来て下さい、お願いします」
「まったく…人間というのは面白いな」
不敵に笑い、漆黒の翼は西の方角へと飛び、瞬く間に消えていった!
救急車を呼び終わり、イヤホン少女は通話終了した!
「はあ…しかしこれ、どう説明してごまかすべきなのか」
改めて目の前の惨状を見、頭を抱えるイヤホン少女!車の運転手は気絶しているが命に関わる怪我もなく、建物の住人も丁度全員外出していたので死人は出ず、また奇跡的に目撃者もいなかった!いたらイヤホン少女の弟の上司に消されていたかもしれない!めでたしめでたし!
ちなみに漆黒の翼は愛媛県に着くわけもなく、中国の南の方に下りて大変な思いをしたらしい!がんばれ漆黒の翼!負けるな漆黒の翼!
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