HOMENovel>小説本編:短編集-お電話です


お電話です-2012/01/19-

さっき、電話があったんです。


たかが電話の呼出音なのにびっくりして、しばらく動けませんでした。

で、とっさに台所にいるお母さんに言いました。
電話が来たと。

お母さんも忙しかったのか、それとも私の事を思ってか(ひどい人見知りなんです)、「出てみ」との事でした。

なので、恐る恐る出てみたんです。


ちゃんと声を出せるか。

応えられるか。


家の事情というか、相手は大体知らない人なので緊張しました。
といっても、今思い返すと短い間だったんですけどね。

で、受話器を耳に当てました。


変な雑音でしょうか。ザザ、という音が耳に入ってきました。
そんなにうるさいわけでもないんですが、それを聞いて相手が何か言うのを待ちました。

すると、
「もしもし」
と男性の低い声で言いました。
最初は何て言ったか聞き取れませんでした。

何かの勧誘(家はそういう電話くらいしか来ないので)を期待していて、予想外だったもので何も言えませんでした。
むしろ『もしもし、〇〇に興味はありませんか〜』みたいなあからさまな方が良かったです。その方が相手のテンションにのせて喋れるというか。

そんなわけで私は無言のまま。
相手はもう一度「もしもし」と言いました。
今度はちゃんと聞き取れました。

で、低い声に気圧されてか私終始無言でした。

むしろ相手も怖かったかもですね。


それで、切れてしまったんです。
要件も何も言わずに。

本当にそれだけです。


とくにオチも何も無いんですが、何か怖かったです。

まあ心当たり(ストーカーとかではありません)はありますが…今更電話してくるとは思えません。



誰だったんでしょう…


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