HOMENovel>小説本編:短編集-消失に対する恐怖


消失に対する恐怖-2012/01/19-

怖い。


怖いよ。すごく怖いんだ。

何が怖いかとかじゃない。

自分が、少しずつ…けれど確かに崩れていくんだ。

ぼろぼろとな。
そして落ちた『それ』は溶けるようになくなる。

今こうしている瞬間もさ。

お化けとか、そういう類の恐怖じゃない。


分かるか?
いや分かるわけないよな。

体験した事なんてないだろうし、君には体験できない。

決まっている事だからさ。


…待ってくれ。口を挟みたい気持ちは分かる。
君が私ならとっくにそうしてるだろうし。

でも、最後まで何も言わずに聞いて欲しい。


ごめん。


ほら、私がこんな事言う性格じゃないって思ったろう。
私も思ったさ。
どうして今謝るんだって。

でもな、これは仕方ない事なんだ。

今君と話している時点で、奇跡的だといっていい。

ああ…。


そうだな、そろそろお終いにしようか。

私自身、何を話したいのか分からなくなってきた。

ただ、最後に聞かせてくれ。本当に最後だ。



私は誰だ?


















「先生じゃないですか」


と、生徒1は一蹴した。





二人とも自分から見れば異常だった。





ちなみに自分は生徒2である。









あれから数日たった今日、二人は失踪した。












よくよく考えると、自分も異常なのかもしれない。




自分の座ってる椅子の足元に、あの二人が転がっているのだから。


怖い世の中だなあ、と思った。


Copyright(C)2011-2012 Minus13 All Rights Reserved.