鬼ごっこは一人の少女を豹変させる 1
 
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「由香ー、鬼ごっこしない?」
「そうそう、昔よくやったでしょ」
「え…?」
 
「この町中使って、鬼ごっこやるの。明日の昼までね。それまで鬼は交代制。それで、昼までずっと鬼だったら、それ以外の二人の言う事を聞く…っていうルールでさ。最初の鬼は私がやるからさ」
 
「…」
「どうする?やるの、やらないの」
「待ってあげなよ美紀。由香が可哀想だってー」
「あ、やらなかったら今日も掃除当番代わってもらうから」
「ひどー」
 
「「あはははは……」」
 
「…やるよ」
 
「え?」
 
「美紀ちゃんと可里奈ちゃんのどちらかが、私の言う事を聞いてくれるんでしょ?」
 
「そ、そうだけどさ」
 
「少なくともそれは無いよねえ。由香は走るのも遅いし、何かとどんくさいし?」
 
「良いの、私が負けても」
 
「は?それじゃやる意味ないじゃん…」
 
「だって、鬼ごっこって、楽しいでしょう?」
 
 
 
 
「…じゃあ、やるって事で。この後三時からスタート。あんたの親には自分で知らせといて」
 
 
 
 
「…これで、準備完了。あたしたちの勝ちは決まったも同然」
「美紀も本当に悪いよねえ。ここまでして由香を負かしたいの?」
「楽しいもの。それにあんたも一緒でしょ?」
「おぬしも悪よのう。…ん」
「ああ、もうそろそろスタートね」
 
 
「ゲーム、スタート」
 
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