鬼ごっこは一人の少女を豹変させる 3
 
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「由香、流石にもう諦めたよね」
「決まってんじゃん。あそこまで見せつけたんだから…」
「だよねえ…、どうする?この後」
「映画でも見に行こっか。一昨日から始まったやつあるじゃん」
「あ、ずっと見たかったんだよ、それ。行こうか!」
 
『けけけ…』
 
『くすくす……』
 
『…みーつけた………』
 
「え?」
「どしたの可里奈?」
「今さ、由香の声がしたような気がして…」
「気のせいだって、気のせい!居たとしてもこの人ごみじゃ分かんないって」
「ほら、行こうー…」
 
とん。
 
「交代。」
 
「今…背中に、由香の手が…!声も聞こえた。はっきりと」
「って事は…近くに…?」
「まだ間に合う!早く探してもう一度交代して」
「無理だよ、こんなに人が多いんだもん!」
「おじさん、邪魔!どいて!」
 
 
『人の流れに押しつぶされて…けけけ…!』
 
 
「なんとか…落ち着いたかな」
「可里奈…由香は?」
「分かんない…あ、そういえば美紀って鬼じゃ」
 
「!!」
 
「痛っ…美紀!どこ行くのよ!!」
「ごめん、しばらく鬼肩代わりしといてー!」
「美紀…」
 
「まさか、一人で逃げるつもりじゃあ…?」
 
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